愛媛県大洲市の小児科です
病気について
(夏に流行る病気)
- 手足口病
- 夏に流行するウイルス感染症。何種類かのウイルスで同様の症状を起こすため、毎年かかる子たちもいます。
- 症状は手の平・足の裏・口の中に水疱で、膝・肘・おしりにもできます。発熱は出ても最初の数日で出ないことの方が多いです。口内の水疱は痛みがあり、食欲低下や痛くて機嫌が悪いなどの原因になります。
- 感染は咳・くしゃみで出るウイルスでうつりますが、便には数週間出る可能性があり、感染予防は難しいのです。そのため発熱や食欲低下などの本人がしんどい症状がある間は集団生活は制限しますが、手足の皮疹のみでは制限はありません。
- 治療は特に必要ありません。熱があれば冷やす・水分をとる・しんどければ解熱剤の使用ぐらいです。口内の痛みは柔らかいもの食べる・水分を補充する・痛み止めとして鎮痛解熱剤の使用でしょうか。
- 重症の合併症では髄膜炎や脳炎などを起こすと言われています。今年はやっているウイルスは特にこの合併症が多いと言われていますが、基本は怖がる必要はないと思われます。
- 大洲地区では今年は3月に肱南地域から始まり、周辺へ拡がっていきました。県下・全国的にも特にこの地域が早く流行していました。なぜこの時期から流行ったか原因はわかりませんが、考えるに冬に流行るインフルエンザや嘔吐下痢症が今年は少なく、ウイルスの流行の競争に勝ったのでしょうか。
- ヘルパンギーナ
- 夏風邪の一つ、ウイルス感染症です。
- 突然の高熱があり、のどの奥に水疱が特徴的で、痛みがあり食べられません。
- 治療は対症療法で、熱は冷やす、水分をとる、それでもしんどいのであれば解熱剤を使用も。
- 脱水などを起こせば点滴なども。
- 虫さされ
- 蚊や他の害虫に刺されて赤く腫れ、かゆみを伴います。
- 掻き壊すとジクジクになり、とびひになったりもします。
- 掻くとますますかゆみが出ますので掻かないようにしたいですが、かゆみ止めを掻く前に塗ってあげるとひどくなりません。
- 最近は虫さされがかなり大きく赤くなる子がいて、アレルギーが関与している子もいます。こんな子はステロイド軟膏を早めに塗ると少しいいですが、かまれないようにすることを考えましょう。
- とびひ
- 伝染性膿痂疹といいます。
- 虫さされやあせもなどを引っ掻いて傷になったところにバイ菌がついてジクジクしてくる病気。
- ジクジクしたところを触った手で他のところをかきむしり、バイ菌をつけてしまい、拡がっていきます。火事で火の粉が飛んでいろんなところに拡がるような状態なのでとびひと言います。
- 治療は抗生物質の内服と軟膏の塗布です。
- お風呂はシャワー程度で、浴槽には入らないようにしましょう。
- 汗疹:あせも
- 暑くなってから汗の出方が激しくなり、赤くブツブツができています。
- かゆみもあります。
- 汗の処置をきちんとすればよくなりますが、乾いたタオルなどで拭くだけではよくなりません。必ずぬれたもので拭いてその後乾いたもので拭くようにしましょう。
- 赤みが強くてかゆみが強ければステロイドのローションなどを使うこともあります。
- 夏風邪について
- 夏風邪とはウイルス感染によるかぜ症状です。
- 熱は高熱のこともありますが、2-3日程度が多いようです。
- 手足にブツブツ:発疹が出ることも多いです。
- 上記の手足口病やヘルパンギーナも夏風邪の一種です。
- 治療は対症療法で、冷やして水分をしっかりとることです。
- 抗生剤は効きません。
- じんましん
- 原因はいろいろありますが、夏の疲れのためか、暑いためか、お盆には多くいました。
- 全身に膨隆疹(プーと膨らんだ赤い湿疹)が出て、かゆいです。
- のどの奥が同じように腫れれば息苦しくなったりします。これは要注意です。
- 治療は安静・かゆみ止めの内服や軟膏ですが、かゆいところを濡れたタオルなどで冷やすとかゆみが軽減します。
- 体が暖まると出やすくなりますし、汗などでかゆくなるとその刺激で出てきます。風呂は暖まらずに、シャワー程度で汗を落としましょう。
- またトマトやほうれん草などの色の濃い野菜などのアクもかゆみを出す成分なので要注意です。生ものや油ものも控えましょう。
- 一度出ると数日続くこともありますので薬が出たら出なくなってもしばらく内服しましょう。
(秋から冬にかけて流行する病気)
- 溶連菌感染症
- A群β溶血性連鎖球菌の感染症です。
- 発熱、咽頭痛が主な症状ですが、嘔吐・腹痛などもあります。
- また淡い発赤疹があり、かゆみもあります。
- いちご舌も出ることがあります。
- この感染症の怖いのは合併症があることです。腎炎とリウマチ熱(弁膜症を起こす)です。
- 治療は抗生物質をきちんとのむことです。ペニシリン系の抗生物質を10日ほどのんで治療します。治療後症状は割とすぐに落ち着きますが、途中でやめないことが大事です。
- 感染力は治療後24時間以上経てばなくなりますので集団生活も可能です。
- インフルエンザ
- 2009年発生した新型インフルエンザ(H1N1)は第一波は沈静化しましたが、全世界的にはまだあります。
- 今年はA香港のインフルエンザが流行るのでしょうか。11月初旬ですでに集団発生している地域があります。
- 通常は寒くて乾燥してくると流行してくると言っていましたが、最近は夏でもあり、実際新型インフルエンザ(H1N1)は夏から徐々に増えました。しかし流行期はこれからの冬の時期です。
- 症状は急な発熱・咳・ハナ、全身倦怠感で発症し、かなり重症感があります。
- お年寄りの方や基礎疾患を持つ方は致死的状態になることもあり、要注意です。
- 最近は検査をするのですが、発症後すぐには陽性率が悪く、半日から1日たった頃が検査し頃の時期です。
- 治療はまずは安静・休養、十分な睡眠・栄養です。冷やす・水分補充はしっかりと。薬物療法は抗ウイルス剤(タミフル・リレンザ)がありますが、異常行動の問題もあり、全員に投与するのは否定的な意見もあります。重症化するかどうかは、最初には判断できないのでその子に抗ウイルス剤がいるかどうかを判断するのは無理です。また耐性化の問題もあり、Aソ連型はそのほとんどは耐性化していると言われていました。
- 抗ウイルス剤で昨年から今年にかけて新しく出た薬があり、一つは点滴で入れる薬で、もう一つは吸入薬で、それぞれ1回の投与で効くとされています。
- 合併症は肺炎(ウイルス性と細菌性)や子どもでは中耳炎・脱水症なども起こします。またインフルエンザ脳症も重要な合併症です。どれにしても重症な合併症で亡くなることもありますので要注意です。
- 予防はインフルエンザワクチンとやはり昔から言われている手洗い・うがい・マスクで、流行期には人の多いところには行かないのが最大の防御です。また仕事場から家に持って帰ってきて子どもが感染することも多いです。
- 嘔吐下痢症
- ウイルス性としてノロウイルス、ロタウイルスなどが原因です。ノロウイルスは食中毒の原因としてここ数年増加しています。
- ノロウイルスなどは吐物にウイルスが出て、乾燥してもまだウイルスは存在しているのできちんと処理をしなければ感染を拡大していきます。
- 食物からの感染としてノロウイルスは牡蠣などの二枚貝、鶏肉はカンピロバクター、鶏卵はサルモネラ、牛肉は病原性大腸菌が関連性が強いと言われています。
- 治療は対症療法です。嘔吐はしばらく(2-3時間)絶食にして、その後経口補液療法を行うことが大事です。下痢は止痢剤は基本必要ありません。整腸剤ぐらいでしょうか。血便などがあれば便の細菌培養を行った上で、抗菌剤を検討します。脱水があればまず経口補液療法ができるかを考え、活気がない・低血糖を起こしている・嘔吐が続く場合のみ点滴を検討します。
- 病院内や家庭内で吐物からの感染が多い病気なので、感染しないように注意しましょう。
- 八幡浜保健所から出されているノロウイルスによる感染性胃腸炎についてのPDF を載せます。
- RSウイルス感染症
- 冬に流行するウイルス感染症です。
- 子どもで罹りますが、大きな子は鼻風邪ですみますが、乳児などに感染すると細気管支炎などの重症の合併症を起こし、入院治療必要なことも多いです。
- 上の子が保育園・幼稚園で感染し、家でくしゃみ・咳をしてウイルスを出し、下の赤ちゃんに感染してしまうという図式が多いです。
- 治療は対症療法のみで、有効な薬剤はありません。加湿・ハナ取りは必要で、当院でも吸入・吸引を繰り返して行うこともあります。
- 呼吸状態の悪化・哺乳量低下・咳き込んで嘔吐などがおこると入院治療必要と考えます。
- 未熟児や心疾患のある乳児はシナジスという抗体を含む注射を秋から春まで毎月します。
- 冬なのにはプール熱?
- アデノウイルスの感染症であるはやりめや咽頭結膜熱の子がいます。通常夏に流行る病気ですが、最近はエアコンなどの普及で、病気に季節感がなくなっています。
- 扁桃炎の原因としてアデノウイルスは多いようです。扁桃腺に白いものがいっぱいついています。熱も高く出ますが、割と元気です。熱は朝下がって夕方から上がることも多いです。
- ウイルスの感染症ですので治療はありません。自宅で安静、水分摂取、しんどければ解熱剤ぐらいです。抗生剤は効きません。
- 感染力は強いです。はやりめもタオルの共有などでうつります。注意しましょう。
- 乾燥肌・かゆみ肌:空気が乾燥している冬は肌も乾燥します。スキンケアーが大事です。ケアーの注意点などを書きます。
- 皮膚のケアーとしてまず風呂の入り方を注意しましょう。長風呂やタオル・スポンジでこすったりするのは最悪です。
- 皮膚は石けんをしっかり泡立てて、その泡を手で取り、マッサージするように洗いましょう。
- 風呂で温もるのは日本の習慣で、海外ではシャワーが主です。暖まるとかゆみが出るし、皮膚の乾燥もひどくなります。寒いのであれば浴室・脱衣所をしっかりと暖めて入りましょう。(たとえば肉や魚を煮すぎるとスープはおいしいが、身はパサパサになるのと一緒です)
- 風呂から上がったら、タオルで拭いてすぐに保湿剤を全身に塗りましょう。
- 赤ちゃんの顔も風呂では石けんで洗う、朝起きたら着替えさせて、顔も拭く。大人と同じように赤ちゃんもケアーしましょう。
- 赤みがあるところは炎症がありますので薬を塗りましょう。塗るときも擦るのではなく、皮膚に付けて薄く伸ばすのでいいのです。
- おたふくかぜ(伝染性耳下腺炎)
- ウイルスの感染症です。
- 潜伏期間は2-3週間です。
- 耳の下の耳下腺、あごの下の顎下腺などの唾液を作るところが腫れて痛い症状が出ます。
- 食べて噛んでいて唾液が出ると痛みが強くなります。
- 30%の人では感染しても症状が出ない人がいます。
- 合併症では難聴・睾丸炎・卵巣炎などで、髄膜炎も3-10%で出ます。
- 登校(園)は耳下腺の腫れが引いてからです。1週間から10日かかります。
- 治療はありません。痛み止めを使う程度です。
- 予防接種を受けましょう。